18. 高知平野の特殊土と地盤補強

小川 泰平
(株)三友土質エンジニアリング 本社事業部 技術課

はじめに

 高知県は、四国地方の南西に位置する東西に長い県で、北は四国山地、南は太平洋に面しており、愛媛県、徳島県と隣接している。面積の約90%を山地が占める山国である一方、延長約713km もの海岸線を持つ海国でもあり、豊かで変化に富んだ風土である1)。気候は温暖多湿で、降水量が多く、台風の襲来も多いため、洪水や土砂災害は古くからの課題となっている。古来、河川が縦横に走って洪水が多く湿潤な土地から地名は「河中」(こうち)と呼ばれていたが、土佐藩主山内氏により城下町の整備や治水事業が果敢に行われ「河中」を改め、高く知る「高知」の文字が使われるようになった。また、南海トラフによる大地震が90 ~150 年周期で発生しており、21 世紀前半には次の地震が起こるものと予測され2)、対策が進められている。
 高知県では低地が占める面積の割合はわずかであるが、県民のほとんどが山間の谷底平野や下流の三角州などの低地で暮らしている。高知県の低地の地盤は軟弱なものが多く、特に下流から河口にかけて形成される氾濫平野や三角州ではその傾向が顕著であり、住宅地盤として活用する場合には不同沈下対策を要するケースが多い。さらに、地域によっては有機質土対策や液状化対策なども考慮する必要があり、地域の特性に合った地盤判定・地盤補強工法の提案が重要である。本章では県民の半分以上が暮らし、四国の中でもとりわけ軟弱な地域である高知平野を取り上げ、高知平野の地盤の特徴、分布する特殊土、地盤補強をする上での留意点について解説し、最後に地震対策について述べる。

 

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