住宅地盤の基礎知識

II. 怖い不同沈下現象

怖い不同沈下現象軟弱な地盤や、盛土地盤などでは、地盤が徐々に沈下してその上の建物が地盤に追随して傾くことがあります。このような現象を不同沈下と言います。
建物や基礎に亀裂が入ったり、下水の排水が悪くなったり、いろいろな障害が現れてきたときは、まず不同沈下であるかどうかを疑ってみるべきでしょう。沈下が大きいときには、ほとんど半壊状態となり、住めなくなってしまう場合さえあるのです。そしてその復旧には500万~1000万円もの費用がかかるのが普通です。

・不同沈下によって生じる不具合

不同沈下によって生じる不具合

 

不良地盤が増えている原因

優良宅地の品切:

宅地の開発適地が少なくなると同時に、これまで住宅の建つような地盤とは考えられなかったような湿潤な低地や斜面の開発が増加した。
バブル経済で土地が高騰した時には、安価な土地を求めて沼地や崖地までが買いあさられ、宅地化された。

投機対象の土地:

土地が投機の対象として売買されるようになり、転売を前提として購入するので、地盤の性状が問題にされなくなってしまった。

製造される宅地:

宅地に適さない不安定な地盤は、盛土などの造成が必要で、より高度な計画や施工精度が要求されるのに、利益中心の安易なミニ開発がはびこってしまった。盛土を施したら、ある一定期間は地盤が安定するまで放置することが必要であるのに、開発費を早く回収するために造成後、即売する例が多くなった。

地縁情報の切断:

ごく狭い地域内で、互いに顔見知りの施主と工務店(大工の棟梁)との間でやりとりされていた住宅建築の地縁的結びつきが薄れるに従い、両者が共有していた土地の伝承も失われてしまった。よその地域に進出した工務店は、経験と勘とによって住宅立地の適地を知ることができなくなり、買い手の方でも、住んだことのない土地柄ではそこがかつてどのような地形であり、地盤であったのかを想像することができなくなってしまった。

 

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