4. 特殊土における住宅地盤対策~黒ぼく~

加藤清次
アキュテック(株)技術部

はじめに

特殊土のシリーズは、これまでに東京湾臨海部の液状化に始まり、南九州の「しらす」、北海道の「泥炭」と特定地方の土が取り上げられてきたが、今回は、全国的にみられる特殊土「黒ぼく」について紹介する。

 

黒ぼくとは

黒ぼくとは、主として台地、丘陵地、山麓に分布する黒または黒褐色の腐植に富んだ粘性土をそのようによぶことが多い。どのような土をさすのか簡単にいうと、ロームが分布する台地上にみられる畑の真っ黒な土がそうで(写真-1)、ロームの表層部分を覆っているのが通常である(写真-2)。黒ぼくの名前は、黒くてほくほく(ぼくぼく)した感触があることに由来するといわれており、地方によっては黒ボコ、黒ニガなどとよばれることもある。黒ぼくの分布面積は日本の国土面積の約17%にもおよぶといわれている。母材の粘性土は、主としてロームからなることが多いが、中には非火山性のものもある。前者は北海道から東北、関東、九州地方を中心に火山灰が分布する地域に広く分布し(図-1)、後者は特に、東海地方の段丘面上でみられる(図-2)。また、ロームからなるものは、地盤材料の工学的分類の小分類では、有機質火山灰土(OV)に該当する。以下、特に母材をロームとする黒ぼくについて述べる。

黒ぼく

 

 

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