執行 晃
報国エンジニアリング(株) 技術部
兵庫県は本州の中西部に位置し、北は日本海、南は瀬戸内海に面する地理的特徴を持つ多様な地形を有する県である。面積は約8,400 ㎢ で、地形的には北部の山岳地帯から南部の平野部まで変化に富み、地質学的にはそのほとんどが中央構造線の西南日本内帯に属している。県土の約8割を占める山地は、北部の中国山地に属する氷ノ山(標高1,510m)を最高峰とし、南東方向に標高を減じていく。特徴的なのは六甲山地で、活断層による地殻変動の影響を受け、急峻な地形を形成している。この六甲断層帯は1995 年の阪神・淡路大震災の震源となり、兵庫県の地盤特性を語る上で避けて通れない存在である。
兵庫県の地理・地形を図–1に示す。低地部分は、北部の豊岡盆地、中央部の篠山盆地、南部の播磨平野や阪神間の沖積低地、そして淡路島の洲本平野などがあり、これらの地域は主要な居住地となっている。特に南部の沖積低地や埋立地は県全体の人口約531 万人のうち約7割が集中する人口密集地域であり、神戸市、西宮市、芦屋市などの阪神間では人口集中地区(DID)が広く形成されている。この地域には県内総資産の約65% が集中しており、軟弱地盤対策が重要な課題となっている。
兵庫県内を流れる河川の多くは短く急勾配であるため、山麓部には扇状地が発達し、独特の地盤環境を形成している。阪神・淡路大震災では、六甲山地や周辺の丘陵地で土砂災害が発生し、多くの住宅が被害を受けた。また、沿岸部の埋立地や沖積低地では液状化現象が多発し、特に神戸
市や西宮市の沿岸部で顕著な被害が生じた。この教訓から、県内では地盤調査と適切な補強工法の選定が住宅建設において重視されるようになった。
兵庫県は多様な地形と地質特性を持ち、地域ごとに異なる地盤リスクが存在する。本稿では、これらの地域特性を概観し、戸建住宅の地盤リスクとその留意点について解説する。
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兵庫県の地形・地質特性と住宅地盤の留意点[1.87MB]