2. 土粒子の密度試験、土の含水比試験、土の湿潤密度試験

中村 博
兼松サステック(株) ジオテック事業部

はじめに

今回紹介する「土粒子の密度試験」、「土の含水比試験」及び「土の湿潤密度試験」は、土の物理試験に該当する。土の物理試験の主な目的は、土及び地盤材料の工学的分類、土の状態の直接的ないし間接的な把握を行うことにある1)。
地盤の支持力や圧縮強さを考えた場合、一般的には一軸圧縮試験や三軸圧縮試験を行うことでその強度特性を把握することができる。考え方によっては力学試験を実施することで土の強度特性の把握は可能であるので、物理試験を実施する必要はないのでは、との考え方に行き着かなくもない。しかし、仮に広大な敷地において2箇所で一軸圧縮試験を実施した際にその強度がばらついたとする。このような場合、力学試験のみではその発生要因を特定することが困難である。一方、粒度や含水比などの物理試験を実施していた場合には、その粒度や含水の変化が一軸圧縮強さの大小につながったのではないかと予測が可能となるケースもある。
土粒子の密度は土の分類において直接的に用いることはないが、土の基本的性質の一つであることや他の物性値を求めるために必要となる1)。試験はJIS A 1202-1990に規定されている。
土の含水比を土の分類に用いる場合、液性限界や塑性限界などの値を利用している。また含水比は飽和状態の粘性土の場合、間隙比と一義的な関係にある。含水比や間隙比は、土の圧縮性や強度特性とよい相関関係にあり、複雑な試験手順と時間のかかる力学特性の概略を推定するのに利用されることもある1)。
土は図–1に示すように土粒子と水及び空気で構成されており、この水や空気の部分を間隙という。土の湿潤密度は土の単位体積重量であり、一般的な土で1.6~2.0g/cm3、有機質が混入していると小さな値を示し、高有機質土の泥炭では、0.8~1.3g/cm3の値を示すといわれている。
表–1に代表的な土の含水比w、土粒子の密度ρs、湿潤密度ρt の測定例を示す。

soil_test_2_Fig1

 

 

Top